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上海交通大学国際及び公共事務学院 彭勃(ペン・ボ)教授との意見交換会

2014.01.10

日時: 2013年12月2日(月)
場所: 熊本大学 発生医学研究所1F カンファレンス室

2013年8月に実施した上海インターンシップにおいて、HIGOプログラムの学生たちがお世話になった上海交通大学・国際及び公共事務学院のペン教授が来熊されました。ペン教授は12月1日(日)に水俣市立水俣病資料館を視察され、その翌日、HIGOプログラム学生らと経済成長と環境問題の関係性、公害問題処理などの環境政策における課題等について意見交換会を実施しました。

今回の意見交換会には、日本の水銀問題に詳しいジャーナリストである熊本日日新聞社(熊日)の井芹道一論説委員もお招きし、井芹氏より国際的な水銀問題について話題提供を頂いた後、熊本における水俣病の水銀問題を出発点に、日本と中国の環境問題に関して議論を行いました。

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(写真)ペン教授、熊日新聞の井芹論説委員、HIGOプログラム学生との意見交換会の様子


参加者全員で水俣病博物館が制作した水俣病に関するDVDを鑑賞した後、井芹氏より、以下の内容でお話がありました。

・世界規模の環境問題~水銀問題への取り組みなど
・水俣病発症から原因物質(メチル化水銀)の発見までの経緯
・訴訟、補償、患者認定についての課題
・国内外のメディアが水俣水銀問題をどう取り上げてきたか

講話終了後は、1) 水俣病の原因物質の発見が遅れた背景、2) 中国の大気汚染に対する現地の方々の意識、3)水銀問題を解決するためのEU諸国での取り組み等について、活発な質疑応答・議論が行われました。
 
またペン教授からは中国の動向についても話題提供がなされ、最近日本でも問題視されているPM2.5などを具体例に、中国における急速な経済発展に環境対策や人々の意識が追いついていない実情をはじめ、環境改善に向けた課題を指摘していただきました。

HIGOプログラムでは、9月に実施した熊本日日新聞社でのインターンシップの際に、水俣市を訪れ、加害者・被害者・現在の住民達・マスコミなど、多くの面から水俣病について学んでおり、今回の意見交換会は、このインターンシップのフォローアップとしても非常に有意義な機会となりました。

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sq01.jpg  熊日新聞の井芹氏のお話を聞いて、日本・中国を含む東アジアでは、ヨーロッパ諸国に比べて、環境問題への取り組みが十分ではないことがわかりました。
今秋、水俣条約国際会議が熊本で開催され、水俣の水銀問題から得た教訓が世界に向けて発信されました。これを機に、東アジア諸国が連携し、環境問題への取り組みをさらに進展させる必要があると感じました。そこで、色々な国の大学どうしの交流や意見交換会等を通して、問題意識を共有することが重要だと思いました。

sq01.jpg  熊本で起こった水俣病という公害が、海外からも注目されているということを改めて実感した機会でした。また、中国のさまざまな文化や、最近話題となっている環境問題についても伺うことのできる貴重な経験となりました。これからも隣の国、中国についてより理解を深めたいと感じています。

sq01.jpg  日本の公害や熊本の水俣病についてのお話を聞いて、改めて公害の恐ろしさ、醜さを感じました。一方、ペン教授との議論を通じて、実際に公害を防ぐことの難しさも痛感しました。中国は、今まさに高度経済成長期の中で、国民全員が豊かになろうと頑張っています。その豊かさを犠牲にしてまで環境のことに目を向けるのは、難しいと思います。また、高度な技術を利用して公害を防ぐにも、多額のお金がかかるので、現実的には厳しいと思います。今回の意見交換会では、解決策が見つからず、歯がゆい思いもありましたが、公害について、中国の教授の意見を自分の耳で聞くことができ、大変有意義な機会となりました。

sq01.jpg  今回、様々なお話を聞いて「日本の水俣病問題を通して、中国に何を伝えれば良いか?」と考えるようになりました。中国は、現在、深刻な環境汚染問題を抱えており、大気汚染物質PM2.5は、日本の大気にも影響を及ぼしています。このように、環境汚染は、まさに国境なし、一国だけの問題にとどまることができないものです。日本が汚染源である中国を非難することは当然です。しかし、非難するだけでは、いま起きている問題の解決にはつながりません。日本は、中国よりも以前から、環境汚染問題に取り組んできました。そこで、中国は、その経験や技術を日本と共有し、協力しながら、環境汚染問題に取り組むことが重要だと思います。

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